摂食障害からの回復~その5「摂食障害、治療してよかった?」~
今回は、
拒食症(摂食障害)、治してよかった?
という疑問に答えていきます。
は?病気治してよかったかってどういうこと?
と思われるかもしれないのですが、
私の場合、治療中、治したいけど治したくない(治すのが怖い)という二つの気持ちがグルグルしており、もしどこかで治したくないが勝っていたら今の自分はなかったと思います。
どういうことかと言いますと、、、
それを説明するために話はすこし遡りますが、
私は昔、ブス!といじめられていたせいか
人より外見に対してすごく敏感になってしまっていました。
そしてそんな感性のまま大学に入って、
きれいでかわいい女の子をたくさんみた私は、
「私はブスなんだからせめてほかの子より痩せないと」
「痩せてかわいくならないと、存在している意味がない」
と思い始めてしまい、そこからどんどん食べることをやめてしまいました。
食べていないと考える力も弱くなるようで、
痩せたいという気持ちがいつのまにか、食べたくない、になり、
食べたくない、がいつのまにか、食べるの怖い、に勝手に変わって行きました。
だから当時の私からすると、
治療するということ=食べるようになる
↓
痩せている自分でなくなる
↓
今やりブスになったら生きていてはいけない(今思えば暴論)
↓
でもこのまま食べずに生きていくのは不可能じゃん・・
でも死にたいわけじゃない・・・
↓
じゃあどうしたらいいんだ!
となってしまうわけです。
私の場合はこの思考回路から抜け出せないまま、
でもどこかで、今の苦しい状態からは抜け出したいと思うもう一人の自分もいたため、
その気持ちを汲んだ親の半強制的な後押しがあり、無理やり入院治療をスタートさせました。
そして入院中、回復の過程で、ようやく
「「拒食症の自分」とさよならしてみよう。」とすこしずつ、本当にすこしずつ、心の底から思えるようになり、先ほどの思考回路から抜け出しました。
抜け出してしまうと案外、
「今までの自分なんか極端な暴論で生きていたな」と思えてきて、
「痩せてない自分は許せないけど、でもこれ以上痩せたら生活できないし、どうしたらいいの・・・」という悩みから、
「極端に痩せているわけではなくなったから、またほかの女の子に劣等感を抱いてしまうかもしれないけど、それでも前の自分より、今の自分を愛したい。どうしたら愛せるかな」という比較的健全な命題へ変わりました。
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※またこの劣等感うんぬんについては別途お話ししようと思っていますが・・・・
この言葉と今までの内容からわかる通り、
『可愛さでは勝てないから細さで周りの女の子に勝って(勝った気になって)
劣等感を押しのけて自己を保っていた』んですね、私は。
つまり「拒食症になって、拒食でガリガリであることに執着していた私」の正体は、【劣等感を克服しようとして、極端な方法をとってしまった結果】だったということです。
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劣等感から逃れる方法として、ひたすら痩せるという方法を選んでいたら、いつのまにか、劣等感から逃れたいと苦しむ私を守るように、
『食べて太ったら、また劣等感に苦しむことになっちゃうから、食べるの止めようよ』と囁いてくる【摂食障害(拒食症)の私】が私の中で出来上がったんだと思います。
だから拒食症であることは、(食べないことで自分をどんどん衰弱させ、死に追いやっているので)矛盾するようですが、自分を守る一つの方法だったんです。
でも、、、
たぶん、もっと健全に、楽しい生活を送りながら自分を守る方法もあったはず。
もし、周りと比べずに自分を愛せる考え方を知っていたら?
もし、ありのままの自分を自分で愛せたら?
もし、そんなありのままの自分を受け入れてくれる人を見つけられたら?
きっと拒食症になること以外でも、考え方を変えたり、新しい考え方を学んだりすることでたぶん私は私を守れたと思います。
そして、他の方法で自分を守れるようになるためには、
一度『拒食症の自分』とさよならしないといけない。
だって、両手を『拒食症の自分』とつないでいたら、新しい自分と手をつなげない。
『拒食症の自分』はいつでも私を劣等感から守ってくれました。けど守られるたびに私は蝕まれ、ふさぎ込み、周りの声が聞こえなくなりました。
本当はこんなに何かを犠牲にしなくてもよい方法があったと思いますし、今の私は、拒食症だった時の私より幸せで楽しく生きています。
今治療を躊躇っている人がいたら、
思い切って踏み込んでみてほしいです。
変な言い方ですが、
治ってみて、やっぱ病気の時のほうがよかった!って思えば戻ってくることはできる。
けど、一度回復してみないと、どの自分でいるのが1番救われるかはわからない。
私はそう思って治療中自分を慰めていました。
そして回復後の私は、病気じゃない自分を選びました。
だから思い切って、治療してみませんか??